2026.10.26
【転倒後の手首の痛み】腫れが少なくても見逃したくない骨折のサイン
玄関先でつまずいて手をついたあと、手首がじんじん痛む。でも大きく腫れていないし、指も動かせる。「捻挫だろう」と、そのまま家事を続けたくなるかもしれません。ところが、手首には外見だけでは気づきにくい骨折があり、初回のX線検査でも見つけにくい場合があります。転倒後に確認したい症状と、受診までにできる安全な対応を知っておきましょう。

転倒しそうになったとき、反射的に手のひらを地面につくことがあります。このとき手首が大きく反らされ、骨や靱帯に強い力がかかります。手首の親指側にある橈骨の先端が折れる「橈骨遠位端骨折」や、手首の小さな骨である「舟状骨」の骨折などが起こることがあります。もちろん捻挫の場合もありますが、痛みの出方だけで区別することは困難です。
腫れや内出血、手首を動かしたときの痛み、物を握りにくい感じなどが主な手がかりになります。転倒後すぐは緊張のために痛みを感じにくかったり、時間がたってから腫れが目立ったりすることもあります。「指が動くから骨折していない」とは言い切れません。

舟状骨は親指側の手首にある骨の一つです。手をついて転倒したあと、親指の付け根近くや手首の親指側に痛みが続く場合は、舟状骨骨折が疑われることがあります。骨折の位置によっては通常のX線撮影で骨折線が見えにくく、初回の検査で異常がはっきりしないことがあります。時間がたって痛みが少し和らいでも、必ずしも治ったとは限りません。
舟状骨は骨折した場所によって血流が届きにくく、適切に治療されないと骨がつきにくくなる「偽関節」を起こすことがあります。初回の診察で骨折が確定しなかった場合でも、疑いが残れば固定や再診、CT・MRIなどの追加検査を検討することがあります。医師から再診を指示された場合は、症状が軽くなっても自己判断で中断しないようにしましょう。

骨折が疑われる場合は、まず痛む手首をなるべく動かさないようにします。無理に曲げ伸ばしして状態を確かめたり、手首を引っ張って元に戻そうとしたりしないでください。タオルや三角巾などで腕を支え、必要なら無理のない範囲で簡易的に固定します。冷却する際は保冷剤を布で包み、皮膚へ直接当て続けないようにしましょう。
腫れが強くなると指輪や時計が外しにくくなるため、安全に外せるうちに外しておくと安心です。痛い手で重い物を持つ、洗濯物を絞る、雑巾がけをするなど、負担がかかる動作は控えてください。手首の変形が明らかな場合は、位置を直そうとせず、そのまま支えて受診しましょう。

転倒後に手首の痛みが続く場合、腫れが少なくても早めに整形外科で確認することを勧めます。特に手首が大きく変形している、非常に強い痛みがある、指先がしびれる・冷たい・青白い、指を動かしにくい、深い傷や出血があるといった場合は、緊急性が高い可能性があります。必要に応じて救急外来へ相談してください。
一方、痛みが軽いからといって、何日も自己判断で様子を見てよいとは限りません。転倒直後にはほとんど腫れていなくても、骨折が隠れている場合があります。いつ、どのように転倒したか、どこをついたか、どの場所が痛むかを医師に伝えると、適切な検査につながりやすくなります。

骨折と診断された場合、骨折の種類やずれの程度に応じて、固定や手術などの治療が選ばれます。固定期間も一律ではなく、医師の指示に従う必要があります。手首を動かせるようになっても、握る力が戻るまで時間がかかることがあるため、急に重い荷物を持ったり、手をついて立ち上がったりするのは避けましょう。
回復期には、必要に応じてリハビリテーションを行い、手首や指の動き、筋力、日常動作を少しずつ戻します。家事や仕事への復帰を焦らず、痛みや腫れの変化を確認することが大切です。何よりも、転倒後の手首の痛みを「大したことはない」と決めつけず、早めに原因を確認することが後遺症を防ぐための基本です。
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